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<<   作成日時 : 2016/01/12 16:18   >>

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挫折や敗北の意義や価値

青森山田高校サッカー部
監督 黒 田  剛氏

不合格や失敗、敗退や選考漏れなど、長い人生における青年期には、
幾度となく様々な挫折や敗北に遭遇する。

中には挫折が怖くて勝負を回避してきた者や、結果が出ない現状を他人の責任と決めつけ自分に都合よく誤魔化しながら人生を過ごしてきた者、またタイミングや偶然が重なり挫折や敗北を味わうことなく幸運に青年期を終える者もいる。

挫折や敗北は世間一般的に残念で辛いこととされ、現実問題として絶対に味わいたくないという自己防衛的な心理もよく理解できる。

特に高校スポーツにおいては、3年間の努力や苦労も一瞬で明暗を分け、その悔しさに涙する場面にしばしば立ち会うことが恒例となっている。高校サッカーにおいても試合中のアクシデントや、同点によるPK戦負けであっても、勝つと負けるのとでは雲泥の差。

周囲の評価や反応、そしてメディアの取り上げ方も何もかも扱いが変わる。
これは経験した者にしか感じることのできない痛みを伴う辛い屈辱の場となる。

 しかし、本当に成功や勝利のみが評価に値し、長い人生において重要なことなのだろうか。

もちろん人々は結果を求め努力を重ねていくことは大いに重要なことだが、
これからの現代社会の厳しい情況の中での『ここ一番の勝負どころ』で負けないためにも、
青年期にたくさんの挫折や敗北を繰り返し経験しておくことは、必要なことではないかと思う。

日々の厳しい鍛錬の積み重ねから覚悟して挑んだ勝負や、必死に食らいついた勝負の結果から、
敗者の努力を安易に忘れ去るのは簡単な作業だが、青年期の勝負というものを人生という大きな単位で捉えることができるのであれば、敗北はとても価値あるものになるのではないだろうか。

犠牲心を持って挑んだ者の勇気や心は、純粋で健康的で将来の自分自身に希望の持てる本来の『競技スポーツの目的や在り方』であるといえよう。

挫折や敗北によって得ることのできる今の『残念』を、将来の『おめでとう』に置き替えられる周囲の大きな心や、清らかな眼差しが青年期の『新しい未来スポーツ』を育くむことに繋がっていく。

 夢や目標に向かって死にもの狂いで頑張ってきた者だけが『価値ある挫折』や『意義ある敗北』を経験できる。

これはそんな彼らだけが手にすることのできる素晴らしい成果であり、この経験はいずれ人生における『勝利へのチャンス』に結びつくことになる。

多くの企業や組織において、発展的思考のない二代目社長が組織を停滞させ、苦労を知らない三代目社長が会社を潰すことは有名な話だ。

有能な組織のトップは、経営バランスの5割を組織開発や成長発展に、5割を成長に伴うリスクマネジメントに力を注ぐと言う。

リスクマネジメントは勝負による多くの失敗や挫折を経験した者のみが体得できる危機管理能力であり、
勝利や成功経験の余韻から抜けきれない者や、ちやほやされた甘い経験を繰り返してきた者に備わる能力ではない。

もちろんビジネススクールや様々な講習会、勉強会で簡単に得られるものでもないだろう。

青年期の挫折や敗北は、自らの身体を通して会得した『適応力』と『気概力』を生み、
厳しい現代社会をリードしていく上で必要不可欠なイノベーションを発展させ、あらゆる本質を見抜く力となるのである。

 勝っても負けても、日々努力を惜しまず自己と戦い続けているのは、
その『意義』や『価値』がこんなにも深く影響しているからであろう。

以上

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