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zoom RSS スポーツは、本当に「楽しむもの」になっているのか?

<<   作成日時 : 2014/04/16 02:30   >>

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3月29日、神奈川県内にて越智健一郎さん(京都精華女子高・ASラランジャ京都)と

末本亮太さん(NPO大豆戸FC)によるワークショップ

「コーチから選手への仕掛け・仕向け」が開催されました。


二人は独自の指導スタイルから結果を生み出すことで近頃注目を集める若手指導者であり、

会場には同業の指導者を筆頭に大勢の参加者が集まられたそうです。


 越智さんと末本さんが交代で登壇して自らのスタイル、哲学を説明するワークショップでしたが、

1部の冒頭で越智さんはまず「スポーツとは?」という定義について参加者に質問が…



参加者からは「運動である」、「楽しむものである」、「素敵なものである」といった回答が出ましたが、

越智さんは「そう言いながらも、そうではなくなっているもの」と意表を突いた定義付けを行いました。



「スポーツを始めるキッカケ(動機)は色々ですが、

(選手たちはサッカーが)楽しいから、大好きだからやっています。


でも、楽しくなくなる、嫌いになる、塾があるなどの理由でサッカーを辞める選手が出ています。

それは何らかのストレスが子どもたちにかかってきているからで、

選手にサッカーを続けて欲しいと思うのであれば、

彼らを楽しませる、好きなサッカーをさらに大好きにさせる大人の責任、役割があると思います」


 このように日本のスポーツの現状を捉える越智さんは、

高校サッカーをはじめ学校体育周辺に蔓延する

「しっかりしているチーム=GOOD TEAM」、

「しっかりしてないチーム=BAD TEAM」というイメージについても映像を交えて説明しました。


映像ではピシっと横並びに整列した選手たちが「お願いします!」と一例するシーンと

一人の選手が「撮って、撮って」とハイテンションでアピールをするシーンが紹介され、

「前者(の映像)が日本の学校体育で求められる『しっかりした』で、

後者が『ふざけている』と思われているものです。

でも、日本では試合や大会に出たいから、

怒られたくないからという要素によってしっかりさせられているのが現状です」
という話がありました。


スポーツを通して社会性を育む」

 日本サッカー界でも頻出の言葉であり、

越智さん自身も「すごく大切なこと」だと認識していますが、

「挨拶、上下関係、シャキッとする、言葉遣いといったものは

スポーツをしていないと獲得できないものなのでしょうか?」
と問いかけます。


5人の子宝に恵まれた越智さんの子どもたちはスポーツをしていないそうですが、

当然のように挨拶はできるし、最低限の言葉遣い、TPOもわきまえていると言います。


挨拶や言葉遣いはある意味で家庭での躾を通じて、

それから子どもたちの発育発達の過程で自然と身に付けていくものです。

だからこそ、「スポーツを通して挨拶を、言葉遣いを」という言葉、

発想自体が「恩着せがましいわけです」
と越智さんは話します。


 その言葉の真意は、「スポーツは人間教育の手段ではなく、元来遊びや楽しむもの」ということであり、

それは何も「サッカーを通じた人間教育」を大々的に掲げる学校体育や部活動の指導者を否定しているわけではありません。



選手が好きで始めたサッカー、楽しいはずのスポーツの時間にストレスを抱えさせてはいけない

という純粋な思い、大人の責任から


まずは日本のスポーツに蔓延る「スポーツは人間教育の手段」という概念を取っ払い、

「気晴らしをする、遊び、楽しむ」といったスポーツの語源に基づく本来の意味・価値を確認しているにすぎません。



その後も越智さんからは、当たり前のものとして考えられている概念を覆すような言葉が次々に飛び出しましたが、

前提となるスポーツの定義を明確に打ち出したことによって、

誰にとってもすっきりと入ってくる内容になっていました。


 続く2部では、ボトムアップ指導で実績を出している末本さんが登壇し、

冒頭で今のスタイルに行き着いた理由について詳しく説明しました。


「指導者の仕事は教えること」、「自分が教えればうまくなる」と信じて疑わなかった末本さんが

指導法を変えるきっかけとなったのは、

約5年前に担当していた小学3年生の「コーチ、何でそんなに偉そうなの?」という一言でした。

「対等な立場でやってきたつもりなのでショックでした」と当時の心境を明かす末本さんですが、

それを好機と捉えて創意工夫を誓います。


 末本さんがまず試したことは「自分たちで試合会場まで行ってもらう」ことでした。

以前から試合会場についても着替えない、スパイクを履かない、

ボールも出さない受け身の子どもたちの姿勢に疑問を抱いていた末本さんは、

ある時から選手たちに集合時間と試合会場だけを伝えることにして、

クラブによるバス手配、保護者の配車も止めることにしました。


「子どもたちの試合なのになぜ大人が全てを管理して、

スケジュール通りにやらしているのか。

彼らは学校でも時間割通りにきちっとやることを求められ、やらされることばかりが上手になっています。


なので、自分たちで試合会場まで行くことをやり始めたら、

少し子どもたちの取り組みや意識が変るのではないかと考えて取り入れたところ、

正直劇的な変化がありました」


末本さんの仕掛けは些細なことかもしれませんが、

小学生の子どもたちに試合会場まで行ってもらうことは場合によっては大きな危険、リスクを生みます。


しかし、「試合がある一日を自分たちでコーディネートすることがピッチ内外での自主性を育む」と信じた末本さんは

クラブ内部、保護者たちの同意をしっかりと取り付けた上で、バランス感覚を持って子どもたちに任せていきました。


するとこんな変化も見えました。


受動的にサッカーをやらされていた時には、試合の立ち上がりが悪い課題が目についたのですが、

それすらも消えていったのです。


また、末本さんが細かな情報を伝達し忘れることがあっても、

選手側から

「コーチ、次の試合はこういう方法でこの時間に行こうと思うんだけれど、大丈夫かな?」と

確認してくるようになったと言います。


そういった能動的な姿勢は、如実にピッチ上でのパフォーマンス、結果につながっていきます。


 越智さん、末本さんの二人に見えた大きな共通点は、

「常識や現状を疑う力」です。

メディアやSNSなどから流れてくる彼らの言動の表層だけを見れば、

奇をてらった指導者に映る可能性もありますが、

彼らの常識を疑う力の背後には鋭い洞察力と選手たちへの深い愛情が隠されています。


目の前の選手に真摯に向き合うからこそ、

指導者の世界、日本サッカー界では「当たり前」と考えられている常識も疑うことができる
のです。


京都精華女子高で何より「怪我をしないカラダ作り」を意識した指導を行なっているという越智さんですが、

身のこなしを良くするための練習を多く取り入れています。


その一つが「くるり」と呼ばれている動きの練習で同校ではパスを出して回ることが習慣化されています。

実際の試合映像でも後方からパスを受けた選手がアウトサイドのワンタッチで前方にパスを送り、

そのまま"くるり"と回る身のこなしを見せていました。


 テクニックについても独自の見解を持つ越智さんは「テクニックを通じて相手に読まれづらく、

自分たちも怪我をしづらい。危ないと思った時に耐えるのではなく、回る」のが"くるり"のアクションだと説明します。
 
 また、ボールポゼッションに関しても面白い捉え方をしています。


通常、「ポゼッション」たるボール保持は攻撃の手段であり、

攻撃されないという理想の守備であり、

「ボールを動かしながらゴールに向かう」ことが一般的なサッカースタイルとして定着してきています。

しかし、越智さんのポゼッションは一般化された考え方とは少し異なります。


「僕の中でのボールポゼッションはボールを保持する時間が長い、

或いはボールの動いている時間が長いことです。

なので、タッチ数をなるべく多く、パスをなるべく緩くするように求めています。

特にパスが緩いとミスが減ります。

パスを成功させていきたいので、ミスが起こる要素を減らしていきたい。

例えば、後にパスをすることでインターセプトが少ないラグビーや

ゆっくりとタッチ数の多いドリブルをしながら周りの状況を見ることのできるバスケットのようなイメージです」


そうした考え方の延長線上には

「受け手のクオリティ重視」のパス概念があります。


パスを成功させる上で受け手、出し手双方のクオリティが高く、

意思疎通が取れる、タイミングが合うことは一つの理想ですが、

越智さんは「いいパスが来ても受け手がダメだったらパスは失敗ですが、

悪いパスでも受け手が良かったらパスは成立します。

だから、精華女子のパス練習は両方のクオリティを求めるのではなく、

受け手のクオリティを上げることに特化しています。


受け手の技術をあげればミスが減るという希望的観測を持っています」と話します。

 越智さんが京都精華女子で重視しているテクニックについてひと通り説明した後は、

実際に精華女子の選手が2人登場して普段行なっている練習や習得したテクニックを披露してくれました。

 
 実技紹介の中心となったのはアウトサイドのテクニックで、

越智さんは「アウトサイドが世界を変える」と考えているそうです。


背負っている相手はボールが見えないことが多いため、

背中から受け取る情報でコントロールの方向を予測しますが、

アウトサイドでのボールタッチにおいて相手は背中の情報からプレー予測できませんので、

「30センチから50センチ、場合によっては1メートルほど相手を離せます」と言います。


熱心にアウトサイドの練習を取り入れる京都精華女子ですが、

越智さんは「これは邪道なんです」と自らのアウトサイダーぶりを認めていました。


「前に向かっていいところにコントロールをして、いいパスコースを選ぶべきなんですけど、

いい選手と悪い選手が対峙した時には勝てないんです。


アンダー日本代表の選手がいる強豪校と普通にやっても勝てないですし、

例えばボブサップと戦う場合、まともに打ち合っても勝ち目はありません。

代表選手のいるようなチームと比較するとうちはまだまだ能力の劣るチームだと思っているので、

こういう工夫をしなければいけないのです」。


 以後も越智さんのこだわり抜いたテクニック論は続いていきましたが、

上記のコメントにある「邪道なんです」、

「能力が劣るチームなので工夫しなければいけない」という言葉はとても重要なポイントだと思いました。


参加者以上に、この2回の記事だけでワークショップの内容や

越智さん、末本さんの考え方を判断しなければいけない読者の皆さんの中には、

「くるり」やアウトサイドに特化した練習に懐疑的な目を向ける人もいるでしょう。


 確かに越智さんのテクニック論のみならず、末本さんが導入した選手を信頼し、

任せるボトムアップ的指導も全てのチームに有効な手法ではないですし、

ましてやり方としての「正解」ではありません。



大切なことは指導者が自らのチーム、選手の能力、パーソナリティをしっかりと見極めた上で、

自らのチームにとって有効だと思われるやり方を構築することです。



だからこそ、自分たちのやり方、哲学が全くない"無"の状態でこうしたワークショップ、講習会に出向く、

メディアやSNSに飛び交う情報を拾い集めたところで単なる批評家にしかなれないでしょう。


異なる指導者のアプローチ、スタイルを垣間見ることは自らの手法を整理する、

肉付けするためのヒントを探すことですから、

極端に言うなら自らにとって有益となりうる情報は講習会全体の10%あれば御の字でしょう。


 
 私が所属する会社でも指導者講習会を開催しますが、

例えばスペイン人指導者の講習会の質疑応答の時間で「うちのチームの現状はこうで、

今日話してもらったスペインにおけるやり方を取り入れるのは難しいのですが、

どうすればいいですか?」といった質問がよく出ます。


本来は、それを考えるために講習会に出ているはずで、

登壇者から「こうやりましょう」と答えを出してもらい、

そっくりそのまま取り入れるような指導者がクリエイティブな選手、自主的な人間を育成できるはずもありません。


 また、クラブ内で指導者を評価する仕組みに欠ける日本の育成現場では

特に、過去の実績やすでに名声を得ている指導者ほど勉強不足の傾向があるように思います。


おそらく、そういう指導者が今回のワークショップ開催の話を聞いても、

「女子サッカーの指導者だろ?」、

「たかが神奈川県のベスト4だろ?」という常套句を用いて参加することもなく頭ごなしに否定することでしょう。



 私自身、これからの日本のサッカー、育成をいい方向に導いていくのは

"過去"の実績や肩書き、年齢ではなく向上心と発信力のある指導者だと考えています。



その意味で、メディアから取材されるのみならず、

能動的に自らの仕掛けや取り組みを発進し続けている

越智さん、末本さんという二人の指導者には大きな期待を寄せていますし、

今回のような興味深いワークショップ、指導者講習会が全国各地で自然発生的に開催されることを願っています。




以上 東北・関東・関西・九州・北信越・北海道・近畿・中国地区 etc

私の知る限り、各年代でいろんな地域事情でのサッカー育成環境で… 

独自のTRYをされています。

協働(共同)しながら…

いろんなSTORYが… そこには…

日本中が、真のスポーツ文化になれば…

中田氏が言われた、日本が世界のbRに輝く日が… 実現されるような…

もう夢ではなく…

Enjoyサッカー なべ だからこその… いろんな方々の取り組みをリスペクトしながら…

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