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<<   作成日時 : 2012/01/12 12:17   >>

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オランダ人のレイモンド・フェルハイエンが提唱するサッカーの「ピリオダイゼーション」

、「体をサッカーのために最適化する」となるだろうか。

レイモンド理論の特徴は、ほぼすべてのフィジカルトレーニングをボールを持って行なうことだ。

 たとえばレイモンドは基本的に、選手たちにランニングや持久走をさせない。

「サッカーは持久力のスポーツではない」と考えているからだ。彼にとって、グラウンドを何十周もするような練習はまったく意味がない。


サッカーに必要なのは素早く筋肉を回復させる能力だ。


「マラソンや持久力のスポーツは、酸素を使ってエネルギーを生み出している。

だが、サッカーは瞬間的なアクションが多く、主に筋肉の状態を回復させるために酸素を使っているんだ。

酸素の使い方がまったく違う。

だから、サッカー選手に対して、長く持久的なトレーニングをさせることは意味がない。

逆に速筋が減ってしまうと言えるくらいだ。サッカーにおいて重要なのは、回復のスピードを鍛えることなんだ」

 また、練習量が少ないのも特徴のひとつだ。

「能力の限界を少しだけ超えた、101%の状態で練習する」 (オーバーロード・トレーニング)
という概念が根底にあり、疲れているときに練習しても能力は伸びないと考えている。

「これまでのコンディショニング理論には、サッカーを正しく分析するということが欠けていた。

サッカーにどんな場面があり、どんな動きが必要かを考えれば、自ずとやらなければいけないことが見えてくる」

従来のコンディショニング理論というと、

「有酸素運動」、「無酸素運動」、「乳酸値」、「VO2max(最大酸素摂取量)」といった専門用語が次々に登場し、

取っ付きづらい印象がある。

だが、レイモンドは一切そういう専門用語を排除し、サッカーの言葉に置き換えて説明することにこだわっている。

指導者や選手にとって理解しやすいだけでなく、サッカーに必要なフィジカル能力を分析するうえで理にかなっているからだ。

キーワードは、「爆発力」と「アクションの頻度」。

レイモンドは理論を構築する際、サッカーの試合を徹底的に分析し、必要とされるパフォーマンスを次の2点に絞った。

「爆発力」と「アクションの頻度」だ。

 たとえば試合で守備をするとき、一口にプレスをかけると言っても、

猛烈な勢いで相手に詰め寄るのと、緩慢な動きで近づくのでは、まったく効果が違う。

守備から攻撃への切り替えでも、一気に前線に飛び出すのと、反応が遅れるのとでは、得点の可能性が大きく変わってくる。

こういう瞬間的なパフォーマンスを、レイモンドは「爆発力」と呼んでいる。


 ここで爆発力が大きいアクションをX、爆発力が小さいアクションをxで表すことにする。

メッシのドリブルが特大のXで、標準的なアマチュア選手のダッシュが小文字のxと言えばわかりやすいだろうか。

選手の体力には限りがあるので、90分の中で X...X...X...x...x...x... とだんだん爆発力が下がっていくのが普通だ。

 一方、「アクションの頻度」とは、パス、ドリブル、プレス、パスカット、攻守の切り替えといったアクションを、試合の中でどれだけたくさんできるかということだ。

何か激しいアクションをしたあとに、回復に30秒かかる選手もいれば、15秒で大丈夫な選手もいる。

「アクションの頻度」が多いほど、そのチームはハイテンポなサッカーができることになる。

 これは言い換えると、瞬間的な「回復力」が高いほどいいということだ。

回復が速ければ、すぐに次のアクションを行うことができ、アクションの頻度が増す。

 この目指すべき2つの向上を絵で表すと、次のようになる。

 x → X (爆発力の向上)
X.........X → X...X...X...X (アクションの頻度の向上)

 ただし、いくら質の高い動きをしても、それが15分しか続かなかったら、とても試合に勝つことはできない。

「爆発力」と「アクションの頻度」をそれぞれが90分間持続することが求められる。


 このふたつのパフォーマンス(「爆発力」と「アクションの頻度」)において、それぞれの「向上」と「持続」を目指すという4つのポイントが、レイモンド理論の発想のベースになる。


<レイモンドの理論の4つのポイント>
(1)爆発力の向上
(2)爆発力の持続
(3)アクションの頻度の向上 (=回復力の向上)
(4)アクションの頻度の持続 (=回復力の持続)
 

では、具体的にはどんな練習をすれば、(1)〜(4)の項目をレベルアップさせることができるのか? 

 まず(1)を鍛えるのに適しているのが、「フットボールスプリント」だ。

レイモンドは次の3つの状況を設定し、どれが一番速いかという実験を行った。

a. 1人だけで15m走る
b. 2人で同時に15m走る
c. コーチがボールを15m前方に蹴り、2人が同時に追い、先に取った選手がシュート

 そしてタイムを計測した結果、陸上の常識ではありえない結果が得られた。

最も速かったのは「c.」のボールを追ってシュートする場合だったのだ。

 レイモンドは言う。

「この実験からわかることは、サッカーの局面を作ることで、選手に刺激を与えられるということ。

100%の力で走れと言われても、なかなか自分の意識だけではその限界には達せられない。

だが、外部からの刺激を使えば、限界を超えられる。」

たっぷりと休養をとらないと、トレーニングの意味が無い。

「爆発力の能力値を上げるというのは、100%を101%にすること。

その唯一の方法は、どのスプリントも100%で走ることだ。

90%で走っても、爆発力はなかなか高まらない。

だから、疲れている状態でやっても意味はなく、たっぷりと休息を取ることが鍵になってくる


 100%でフットボールスプリントを行い、十分な休憩の後、また100%でフットボールスプリントを行う。

そして、また休憩。このサイクルを繰り返すことによって、爆発力を鍛えられるとレイモンドは考えている。

 具体的には5m×6本のフットボールスプリントを30秒の休みをはさんで行い、4分間休憩。

次に15m×4本を45秒間の休みをはさんで行い、4分間休憩。最後に25m×2本を60秒間の休みをはさんで行う。

これが1セットだ。

能力が上がって行くのに合わせて、この強度を段階的に上げて行く(距離と休みの間隔は固定して、本数だけを増やしていき、最終的には5m×10本、15m×8本、25m×6本にする)。

この時間と距離は、すべてスポーツ生理学の知識から決められた数字だそうだ。


次に(2)の「爆発力の持続」能力を鍛えるためには、逆に休息を短く設定する。

もうスプリントをできない……というぎりぎりのオーバーロードの状況を作り、爆発力の持続力を高めるためだ。


 15m×6本のフットボールスプリントを10秒の休みをはさんで行い、それを1セットとする。

4分間の休息を取って、もう1セット繰り返す。計2セットということだ。

そして、能力の上昇に応じて、本数とセット数を増やしていく(最終的には15m×10本を4セット)。

 プレーの一瞬の爆発性というのは、時間も空間も限られるようになった現代サッカーにおいて、極めて重要な要素になっている。

レイモンドはこの能力を6週間というスパンを一周期として計画的に鍛えることで、技術面、戦術面とは違う角度から選手の質を高めることに成功している。

 では、爆発力を上げてxをXにできたとしたら、次にどうやってXの数を増やし(3)、それを90分間持続できるのか(4)? 


100%を少しだけ越えたオーバーロードの状態でトレーニングするのが、レイモンド理論の基礎だ。

これは4対4や11対11のゲーム形式のトレーニングにもあてはまる。

そして、その練習こそが、「アクションの頻度」(=回復力)を鍛えるのにうってつけなのだ。

、「アクションの頻度」を向上させるには、4対4や3対3といった少人数のゲームが最もふさわしい。4対4なら1分間のアクションの数は12〜13回にもなり、高い頻度を体に覚えさせられるからだ。

 具体的には、4対4(もしくは3対3)の1分間のミニゲームを、3分の休憩をはさんで6本行なう。

これを1セットとし、4分間休んで、次のセットへ。

能力のアップに応じて段階的に強度を上げていき、最終的には3分間のミニゲームを、1分間の休憩をはさんで6本やるところまで持っていく。

まるでボクシングのような、かなり負荷がかかったハイテンポな練習だ。

これに取り組むことで、短時間にたくさんのアクションを起こせるようになる。

「サッカーのアクションでは、酸素を取り入れている余裕はないから、筋肉内に溜め込まれた物質が使われる。

回復とは、再びその物質を筋肉内に溜め込むこと。

この機能を鍛えることで、回復時間が速くなり、短時間に何度もアクションを起こせるようになる」

ただし、いくら回復力があっても何度もそのサイクルを繰り返しているうちに、だんだん速さは落ちていってしまう。

「アクションの頻度の持続」(4)、

つまり、回復力を90分間持続させるには、異なるトレーニングが必要だ。

 レイモンドの場合、11対11(もしくは8対8)のゲームで監督がコーチングすることによって、

「体はきついが、指示で動かなきゃいけない」という状況を作り、アクションの頻度をオーバーロードさせる練習を行なっている。 

 たとえば1セット10分間の11対11のミニゲームを、2分間の休憩をはさみながらやったとしよう。

もし4セット目の6分の時点で、選手の息が切れていたり、攻守の切り替えができないといった状況になったら、

それが回復力の持続の限界のポイントだ。


 そのときにあえて「今、プレスをかけろ!」といったコーチングをすれば、選手は体力の限界を超えて動かざるをえない。

韓国の選手たちは、2002年W杯前にこの発想のトレーニングに取り組み、試合終盤に失速するという課題を克服することができた。

 また、ヒディンクが2009年にチェルシーの監督に就任したとき、選手たちは守備的なサッカーを続けてきた弊害で、90分間プレスをかけるだけの体力がなかった。

そこでヒディンクはプレスをかける位置をセンターライン付近に設定するという“妥協案”を採用し、その間にレイモンドに肉体改造をさせて、最終的には前線からプレスをかけられるチームに変貌した。

そのとき活躍したのが、このコーチングによって負荷をかける11対11のミニゲームだ。


ここまで紹介してきたオーバーロード・トレーニングは、レイモンド理論の一部分に過ぎない。

こういうトレーニングをベースに、コンディショニングを6週間のスパンで向上させて行くサッカーの「ピリオダイゼーション」こそが、彼の真髄だ。

 たとえば土曜日に試合があったら、日曜日はリカバリーの日に当て、月曜日はオフとする。

そして火曜日は戦術トレーニング、水曜日に「フットボールスプリント」、「4対4」、「11対11」といったコンディショニング・トレーニングを行い、木曜日と金曜日に再び戦術トレーニングをする。

 水曜日にコンディショニング・トレーニングをするのは、直近の試合からある程度体が回復しているうえに、次の試合まで時間がある日だからだ。

6週間を1周期として、1シーズン右肩上がりにコンディションが高まっていくように計画する。

オーバーロードの状態を練習で実現するには、体調が100%でなければいけない。

80%の状態で6回練習するより、100%の状態で4回練習する方がはるかに意味がある。

 そのため、練習量を多くしすぎないように気をつけるのが特徴のひとつだ。

当然、選手の体調は常に変化するので、日々、臨機応変にプランを修正することが求められる。


実はレイモンドの「ほぼすべてのコンディション・トレーニングを、ボールを使って行う」という結論に、まったく独立に達した指導者がいる。

レアル・マドリードを率いるモウリーニョ監督だ。

モウリーニョはシーズン前の合宿でも、走りこみといった従来のフィジカルトレーニングは一切行わず、ボールを使ったメニューだけで体作りを行う。

「きちんとサッカーを分析して、そこからコンディショニングを考えれば、必ずそういう結論にいたるということ。

新しい理論を広めていくのは本当に難しいことなので、モウリーニョが同じ発想でやっているのはすごく嬉しい。

ただ、ひとつ彼と異なるのは、自分は理論を人に伝えるために、よりわかりやすい形に体系化していることだ」

このオランダサッカー界屈指の理論家は、最後にこう付け加えた。

「私の理論どおりに、他のコーチが指導するのが大事だとは思ってない。

大事なのは監督自身が、自分のやり方を見つけること。

サッカーを分析し、自分のやり方を生み出してほしい。

やり方をコピーするのではなく、その国の文化にあわせたやり方を見つけることが必要だ

 細かいディティールは選手やチームによって臨機応変に変わってくるだろうが、

レイモンドの「サッカーを理解して、そのためのトレーニングを行なう」という発想は普遍的なものだろう。

もはや無闇に走っているだけでは、以前よりもボールを持つことが大切になってきた現代サッカーで支配者になれない。

以上 ご参考までに… 


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