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zoom RSS コーチング 「他の選択肢を捨て切る」

<<   作成日時 : 2012/01/26 09:26   >>

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コーチングのメールから…


「他の選択肢を捨て切る」 粟津恭一郎

********************************************************

 あなたの仕事に対するモチベーションは何ですか?
 

 モチベーションは、 「モチベーションが高い」「モチベーションが低い」というように

 
「意欲」の意味で使われることが多いのですが、「動機」、すなわち「その行動を決定している原因」が本来の意味です。
 
 
 ですので、先の質問は、

・あなたはどのような動機でその仕事をしているのですか?

・あなたがその仕事をする目的は何ですか?

・あなたはその仕事を通して何を成し遂げようとしているのですか?

 
 と言い換えることが出来ます。
  
 
 ピーター・ドラッカーの著書の中に、3人の石切り工の昔話があります。

 
 3人の石切り工が、「何をしているのか」と尋ねられ、それぞれ次のように答えました。

 
 最初の男は、「これで暮らしを立てているのさ」と。

 2番目の男は、「上手な石切りの仕事をしているのさ」と。

 3番目の男は、「大寺院をつくっているのさ」と。

 それぞれの発言は、
 3人の仕事に対するモチベーション(動機)だと言えます。
 
この3人のように、同じ仕事をしていても、人によってモチベーションは異なります。 
 
私はこの石切り工の3人を、最初の男から順に、「モチベーションの3つのレベル」として考えています。
 
 
 レベル1: モチベーションが仕事にはない
       (処遇が良い、家から近い、など)
 
 レベル2: モチベーションが仕事そのものである
      (自分の能力を生かせる、スキルアップしたい、など)
 
 レベル3: モチベーションがその仕事の先に実現したいものである
      (この仕事を通じて○○を実現したい、など)
 

 
 レベル1の人は、とても困難な仕事を前にすると、
 
 「ここまでやっても別に給与が増えるわけではないし・・・」
 と、途中で諦める可能性が他のレベルに比べて高くなるでしょう。
 
 また、大きな組織の中では

 自分のために仕事をする傾向が強いレベル2の人よりも、

 同じ目的を共有しやすいレベル3の人についていきたい、と

 感じる人の方が多いはずです。

 
 モチベーションそのものに善し悪しはないのですが、

 その人のモチベーションが何であるか、どのレベルに属しているのかによって、

その人の仕事の仕方や成果だけでなく、その人が属する組織にも大きく影響するのではないでしょうか。

 


 私はコーチとして、これまで数多くの人の「モチベーション」に関わってきました。

その中で言えるのは、
 

 「モチベーションは、仕事に対する捉え方次第で、
  いつでもそのレベルを変化させることが出来る」
 
 ということです。

 
 ところで、モチベーションのレベルが「1」にも満たない人が、意外と多くいらっしゃいます。

 
 「今の仕事は、自分がやりたいと思ってやっているんじゃないんです」

 「自分から希望もしていないのに、この仕事に異動になったんだよ」

 
 このような、今の仕事を「自分の仕事として選択していない」状態はレベル0(ゼロ)と言えるでしょう。
 
 
 レベル0の状態にある人が、今の仕事に対する自分のモチベーションについて考え、変化を起こすには、
 何よりも先に、「今の仕事は自分の仕事である」という心の中での「選択」をしなくてはなりません。

 
 
 コロンビア大学ビジネススクールのシーナ・アイエンガー教授は、
 「選択」について長年研究してきました。

 
 わかりやすい事例がジャムの販売実験です。
 
 教授は、スーパーマーケットで2つのパターンのジャムの試食コーナーをつくりました。

 
 1つは、「6種類のジャムを試食できる」コーナー。

 もう1つは、「24種類ものジャムを試食できる」コーナーです。

 
 時間帯ごとにこの2つのパターンの試食コーナーを入れ替えて実験をしました。

 
 その結果、試食ジャムが24種類のときは、買い物客の60%が立ち寄ったのに対し、

 6種類になると、買い物客の40%しか立ち寄りませんでした。
 

 ところが、それぞれの試食者のジャムの購入率を調べると、
 

 6種類だった場合の購入者が30%だったのに対し、24種類だった場合の購入者は、わずか3%だったのです。
 
 このような研究を重ねた結果、同教授は、
 
 「人は、選択肢が多いことを望ましいと感じているが、
  選択肢が多すぎると、”決める”ことを後回しにしてしまう傾向がある」

 
 と述べています。
 
 
 年明けに、Fさんという社長に初めてお会いしました。
 昨年、大企業の社長として若くして抜擢された方です。


 Fさんがこんなことを話してくれました。
 
 「この会社に入社してから長期間、体が弱かったせいで会社を休みがちでした。



  本当は営業がやりたかったのだけど、あまり外に出られない上に、長時間働くことも医者に止められていました。
 
 だから、『この仕事はやりたくない』とか『こういう仕事をやりたい』なんてことを言える立場ではなかったのです。
 

 ただ、今から思うと、仕事の選択肢がなかったことが僕にとっては良かったのだと思います。
 
 
 『自分にはこの仕事しかないんだ』と決めるしかなかったのですから」
 


 モチベーションがレベル0にあるときは、心の中で他の選択肢をあえて捨て切り、
 
「自分にはこの仕事しかない」という気持ちになってみる価値は多いにあると思います。
 


 モチベーションのレベルは、レベル1から3へと順に進むわけではありません。
 
 自分の仕事をもう一度心から「選択」してみると、これまで全く気づかなかった、

 レベル3のモチベーションを持っている自分に出会うかもしれません。

 
 【参考文献】
 
 『予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』
  ダン・アリエリー (著)、熊谷 淳子 (翻訳)
           
 『選択の科学』
  シーナ・アイエンガー (著)、櫻井 祐子 (翻訳)
 
 『マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則』
  P・F. ドラッカー (著)、上田 惇生 (著)


以上 ご参考までに…

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